親子の関係、上手くいっていますか?私はアラサーになる今まで生きてきて、自分の両親と、わりと良好な親子関係を築けていると思います。
親の姿を見ていて、ああ自分もこうありたいなと思うこと。それは、子離れできる親になりたいということです。私が感じる、健全な親子関係というものを語ってみたいと思います。
子離れできない親が、私の周りにはとても多いです。
子どもと離れることが「淋しいから」という理由で、いつまでも子どもを実家から出そうとしない親。「心配だから」という理由で、二十歳をこえてからも子どもの行動を把握しなくては気が済まない親。自分の子どもの彼氏彼女や結婚相手に対して嫉妬する親。
これら子離れできない親の行動は、正直私から見ると、かなり異様な状況です。けれど、そういう家庭の子どもは、そんな自分の状況に疑問を持たず、アラサーになってもその親の思いを受け入れている…なんて場合が、意外と多いんです。
子どもがそれでいいならいいんじゃないか、と思われる人もいるかもしれません。子どものことを大事に思って何が悪い!と思う親もいることと思います。
でも、私はこれは、ある意味親の洗脳だと思っています。親の言動は、子どもを洗脳します。「いつまでも実家にいてほしい」「離れたくない」と親が子どもに訴え続けていると、それは子どもにとって当たり前になり、「親のため」にいつまでも実家にいる子どもが育ちます。そして、知らず知らずのうちに親に甘えているのですが、その事実にも気がつきません。親子が依存関係に陥っていることに、気付かないまま過ごしていることが実は多いのです。
いつまでも子どもが実家にいるということは、一人立ちを妨げると私は思います。
もちろん実家に住んでいても、家にお金を入れている人はいますし、家事全般自分がやってるよ!という人もいると思います。実家に住んでいても、経済的自立はできるし、衣食住のスキルを磨くことはできます。
けれども、生まれてからずっと同じ環境で過ごすということは、精神的な自立からは確実に遠ざかります。自分の身を自分で守る力、自分で自分の人生を選択する力は、依存関係の中からは育ちません。それを分かったうえで、親は、子どもを手離す覚悟が必要だと思います。
私は、一人娘です。
一人っ子と言うと、周りから「親によく地元を離れることを許してもらえたね」と驚かれることがあります。正直言って私からすれば、驚かれることにびっくりです。
私の両親は、私が大学生になる18歳のとき「地元から出なさい」と言いました。
正直、私は親のことが好きでしたし、実家にいることに何の苦痛も不自由も感じたことはありませんでした。あのまま実家にいて地元の大学を受験し、就職することもできましたし(第一志望ではなかったけれど)、大学生活が終わったあと地元の会社に就職することもできました。
けれど、うちの両親は、それを良しとしなかったわけです。両親は「当たり前」のことのように、私を一人、県外に出し、そのまま県外で就職し、結婚相手を見つけ、結婚することを喜びました。
今思うと、それってすごいことだと思います。後々になって聞くと、父親曰く、母親は私が実家を出た後しばらく相当淋しい思いをしたということでした。けれど、それは決して私に伝えず、「帰ってこい」だとか「淋しい」だとかは一言も言われることはありませんでした。
そんな思いに気付いていなかった私は、一人暮らしと大学生活を満喫。親には言えないようないろんなこともしでかしましたが、そんな生活の中で、自分一人で生活することの責任や、親の本当のありがたみを知ることができたと思っています。
今になって思えば、あのとき両親が、私を実家から外へ出した行動に心から感謝しています。
なぜ一人娘の私を、県外に出すことにしたのか、今になって思えば、不思議な面もあります。私が思うに、子離れするために必要なことは2つあります。
1つ目は子どもという存在に対しての親の考え方です。うちの両親(特に父親)はそもそも、昔も今も、私に対して一人の人間として対等に接してくれているように思います。私は、ある程度大きくなった中学生くらいから、ある意味では突き放されていると感じるくらい、やりたいことを自由にやっていたし、どこまでも「私」は「私」でした。
子どもは「自分が守るべき存在」という考え方を、子どもが大きくなったら親は変えなければいけません。
うちの両親にも、子どもを大切に思う親心はもちろんあるはずです。けれど、それ以上に「一人の人間」として、私自身の意思を大事にし、信じ、一人立ちさせることを、何より大事なことだと思ってくれていたんです。
その自分本位でない考え方こそが、子離れできた最大の理由だと思います。
2つ目は、親同士の夫婦仲がよいことです。子どもがいなくても、これからは夫婦で楽しく二人で過ごそうと前向きに考えられるような夫婦関係を作っていく必要があると思います。子どもに依存しないためにも、良好な夫婦関係を作っていくことも忘れずにいたいなと思います。
私は、自分の子どもがいません。「子」としての自分からも遠ざかり、「親」としての自分にもまだなっていない私は、親心というものを本当の意味で分かっていないのかもしれません。
でも、子どもは「自立したい」と思え、親は「ひとり立ちしてほしい」と自然に思える家庭こそ、健全な親子関係だと思うんです。
私が親になったら、子どもの生き方を信じて見守り、自分のもとから離れていくことを祝福できる母になりたいなと思います。